語源はアイヌ語の「コンプ」です。
江戸時代まで、昆布を珍重する中国との交易主要品目で「昆布」という字も中国で当てられたものです。
日本では倭名類聚抄(910年)によると「ひろめ(広布)」または「えびすめ(夷布)」と呼ばれていました。
古くから宮中の進物は「のしあわび」、寺院は昆布を尊ぶ中国にならって昆布でした。
昆布料理も絶対量が少ないことから寺院に限られていました。
江戸時代中期、蝦夷地と大阪を結ぶ航路が近江商人の手によって開かれると入荷量は増大し、関西から昆布は一般に広がります。
しかし江戸へ運ばれる量はわずかで、ほとんどはカツオだし、まだ昆布は貴重品でした。
昆布は寒海性で、その分布の南限は宮城県沿岸。
世界的にみても北海道から千島列島にかけては、良質の昆布の宝庫と言われています。
昆布の種類は7属20種類ほどありますが、北海道ではそのうちの約15種がとれ、日本の昆布生産の90%以上を占めています。
昆布漁は主として2年ものを7月〜9月に採取しますが、太平洋側の「長昆布」のように10m以上に成育するものは密生して品質低下を招くので、漁期前の6月〜7月に間引き採取をします。
これが棹前(さおまえ)昆布です。
昆布の旨味の主成分はグルタミン酸ソーダ、そのほかアルギン酸、甘味成分のアラニン、マンニットなどで、昆布にでる白い粉はアラニンが表面に浮き出て結晶したものです。
これらの成分は水溶性ですから、布巾などで軽く拭くだけで使用したほうが旨味をにがしません。
昆布を水に浸すとぬるみが出ますがこのぬるみはアルギン酸でコレステロールや血圧、体内の塩分調整などに効果があります。
このほか昆布の栄養を牛乳と比較するとタンパク質は2倍、カルシウムは6倍、鉄分39倍、ビタミンAは2.5倍、B1は15倍、B2は2.5倍となります。
1日に必要なヨードは2cm角の昆布で十分ということになります。

【 主な昆布の成育分布と
生産地ベスト5(平成17年度) 】

【 主な昆布の特徴と用途 】
真昆布 | だし汁は澄んでいて上品な味わいから高級品とされ、肉は厚めで佃煮やおぼろ昆布などの加工用に利用されています。 |
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利尻昆布 | 澄んだ香りのよいだし汁がとれる高級昆布。昔から京都では人気が高い。湯豆腐の下敷き、とろろ昆布などに最適。 |
羅臼昆布 | 濃いだし汁と香りで喜ばれる高級進物用。柔らかくそのままや酢昆布で美味。 |
三石昆布 | コクのあるだし昆布、柔らかく煮上がりが早いので昆布巻きなどの惣菜用。 |
長昆布 | 三石昆布系でだし汁には少し甘味がある。おでん、昆布巻き、佃煮、煮物用。 |
棹前昆布 | 若い長昆布で煮上がりが早く柔らかい。野菜昆布とも呼ばれ、煮物、惣菜用。 |
細目昆布 | だし用として広く使われ、粘りが強いのでとろろや刻み昆布には最適。 |
がごめ昆布 | 粘りが強いのが特徴でとろろ昆布やおぼろ昆布、松前漬、塩昆布などに。 |
